中国式四柱推命の大事なキモはいくつかありますが、その中でもかなり大事な要素として『喜神(きしん)』『忌神(いまがみ・いむがみ)』の概念があります。このブログでもすでによく出てくるキーワードではありますので、今回はその『喜神』『忌神』について少し詳しく書いてみます。
『喜神』とは『忌神』とは
そうは言っても、そんなに難しくはありません。
命式に良い作用をする星が「喜神」、良くない作用をする星が「忌神」というだけです。
ね、簡単でしょ?(笑)
その星が喜神か忌神かを知るには、まずその命式が身強か身弱か、内格か従格かを知る必要があります。
身強か身弱かについては↓
内格か従格かについては↓
内格はバランスを良くする喜神、悪くする忌神
例えば、日干甲の身強の内格の人がいたとしましょう。
身強の内格ですから、内格はバランス重視なので、日干が弱まる星が『喜神』です。
例えば偏官「庚」は甲を強く剋しますから(木の幹を斧で切り倒すイメージです)、庚はおそらく『喜神』となるでしょう。
また正財「己」は、日干甲を倍加干合して弱めますから、おそらく己も喜神となるでしょう。
干関係では甲を弱めない正官「辛」も、そこまで強くはないですが喜神と判断します。
逆に甲を強めてしまう星、比肩「甲」(木が増えて林や森となる)、印綬「癸」(雨は植物を育てます)は『忌神』となる可能性があります。
干関係では甲を強めない劫財「乙」や偏印「壬」も、そこまで強くはないですがやはり忌神と判断します。
また、日干丁の身弱の内格の方がいたとしましょう。
身弱の内格ですから、日干が強まる星が喜神となります。
例えば印綬「甲」は丁をよく強めます(火に薪をくべるように)から、甲は喜神となります。また、火の調節をするかまどの役目をする傷官「戊」、食神「己」も丁にとっては喜神です。
干関係上、丁を強めない劫財「丙」も、一応喜神となります。
これらの考え方を扶抑用神法と言います。
従格は従神が強まれば喜神
従格の命式は、身強の従格であっても身弱の従格であっても、その従神を強める星は喜神となり、剋したり無作用(あるいは倍加)干合する星は忌神となります。身強の従格であれば比劫・印星が強まれば喜神、身弱の従格であれば、食傷、財星、官星などが強まれば喜神です。
これらの考え方は専旺用神法と言います。
調候喜神・忌神
中国式四柱推命は、季節を重んじる占いです。ですから調候用神という考え方があります。
真夏の命式は雨が喜神
例えば、太陽がギラギラと照り付ける真夏の命式は干からびて乾ききっています。そこへ降る夕立は、灼熱の大地の温度を下げ、湿り気は作物を育てます。
例え扶抑用神法では癸が忌神だったとしても、このような命式の場合は癸(水)は調候喜神となり得ます。
真冬の命式は太陽が喜神
逆に、凍てつくような真冬の命式は、植物も大地も凍り付いています。そこへ降り注ぐ陽光は、氷を溶かしゆるめ、大地を温めてくれます。丙(火)が扶抑用神法では忌神であったとしても、このような命式の場合は調候喜神となり得ます。
調候喜神の意味合い
扶抑用神法の喜神が社会的な成長や成功を意味するとしたら、調候用神法の喜神は、プライベートの充実や成功を意味します。
例えば、丙が喜神で仕事一辺倒で忙しく出世もした人が、癸の行運の時に仕事が落ち着いて結婚相手と出会ったり・・・とうことです。
喜神・忌神は天干だけでなく、地支にもある
もちろん、天干(十干)だけでなく地支(十二支)についてもそれぞれ喜神・忌神の判断をします。地支(亥子丑寅卯辰巳午未申酉戌)はそれぞれ木火土金水の要素を1~3つずつ持っていて天干を支えています。火の要素を持つ地支は火の五行を強めています。ですから冲や支合などでその地支が作用しなくなると、天干も弱まります。
天干を強めて良い作用をするなら、その地支は喜神ですし、強まると良くない作用をするなら忌神となります。その逆もあります。
難しくはないですが、実際はコツがいります
どうですか?喜神・忌神の判断方法自体は単純で、そんなに難しくはないと思います。
ただ実際の鑑定では、命式中では喜神であっても、行運(大運や年運)では忌神になったり(その逆もあり)、一見喜神のようであっても、細かく注意深く見るとその作用や位置によって忌神のようにふるまったり(その逆もあり)、判断にはコツがいります。
ただやはり一番大事なのは、格局を決めるところで、格局を間違うと喜神・忌神もすべて変わってしまうと何度かブログにも書いてきました。そのワケが少し分かっていただけたのではないかと思います。