通変星の意味を詳しく解説していきます。今回は比劫について。
比劫(比肩・劫財)とは
比劫とは、自分の日干と同じ五行である星のことを言います。
比肩とは
自分の日干と、天干にある星あるいは行運で巡ってくる星が、同じ五行で陰陽が同じ場合を「比肩」と言います。例えば日干が陽(甲、丙、戊、庚、壬)であり、天干にある星あるいは行運で巡ってくる星が同じ五行の陽である、あるいは自分の日干が陰(乙、丁、己、辛、癸)であり、天干にある星あるいは行運で巡ってくる星が同じ五行の陰であるならば、「比肩」となります。
例)日干甲に対して、天干にある甲や行運で巡ってくる甲は「比肩」。
日干丁に対して、天干にある丁や行運で巡ってくる丁は「比肩」。
劫財とは
日干と、天干にある星あるいは行運で巡ってくる星が、同じ五行で陰陽が異なる場合は「劫財」と言います。
例)日干癸に対して、天干にある壬や行運で巡ってくる壬は「劫財」。
日干庚に対して、天干にある辛や行運で巡ってくる辛は「劫財」。
比肩と劫財をまとめて「比劫」と呼んだりもします。
例)日干戊に対して、天干にある戊や己、行運で巡ってくる戊や己は「比劫」。
日干乙に対して、天干にある甲や乙、行運で巡ってくる甲や乙は「比劫」。
比劫の意味
比劫は、自分自身と同じもの、仲間です。六親縁では兄弟や同僚を意味します。命式中に比劫が多いと、兄弟や同僚からの助力が一生を通じて得られやすいと言われています。また行運で比劫が巡ってくると自分自身が強くなると捉えます。
※基本的には比劫の運気は日干を強めるのですが、細かく言えばそれは日干によります。
例として、日干甲(大木)に甲の天干や行運は、日干甲を強めます。木と木が合わさると林に、林に木が加わると森となるように、甲と甲の関係はお互いを強める関係です。丁(かまどやろうそくの火)も同じように、火と火が合わさると炎となり強まる関係と言えます。
ですが、日干甲に劫財である乙(草花、ツタ)は、特に甲を強める関係ではありません。逆に乙が強すぎると大木にまとわりつくツタとなって甲を弱めたりします。また日干辛(宝石、小刀)に天干や行運の辛は、逆に傷をつける関係です。世界で一番固い鉱物であるダイアモンドを研磨するためにダイアモンドを使うようなイメージです。
ですので、比劫がすべて日干を強めるという訳ではありません。
比劫が強い命式
比劫が強いということは自分自身が強いということですから、性質としては自我の強さが目立ち、リーダーシップに優れ、経営者、個人事業主などに向いているということが読み取れます。積極性があり独立心や実行力が強いため、良い面としては競争力があり社会生活においても発展するといった意味があります。
ただ何事にも裏表があるように、この性質が悪い面で出ると、自我の強さが目立ち時としてわがままとか、自己中心的なように周りからとらえられてしまいがち。周囲から孤立し、それがもとでストレスから精神不安になりやすいということがあります。
比劫が強くなる行運
行運で比劫の巡ってくる運気の時には自分自身が強まります。自我が強くなって行動力や統率力が上がり、それが良い方面に出れば仕事運・金銭運の上昇となり、社会的にも発展します。同じく自分自身の強さから自己アピールに優れ、兄弟・同僚から良い紹介が得られるなどして恋愛・結婚運の上昇にもつながります。
ただ人によっては先ほども述べたように、比劫が強まると良くない方面に性質が出やすい場合があります。比劫が強まる時期には自己中心的になりやすかったり人からのアドバイスを素直に受け入れられないなどということがあります。その時には逆に仕事運・金銭運・結婚運などもよくない運気となります。
従旺格(じゅうおうかく)
命式に比劫が多くを占め、比劫がかなり強い場合は従格となり、「従旺格」と言われる格局になります。
従旺格の人は比劫が強くなれば強くなるほど仕事運や金運、恋愛運なども良い運気と判断します。
自我がとても強く、自分の思うままに生きることを貫くことでその才能を発揮できます。
身内や兄弟からの引き立てもあり、友人も多くよく助けられるでしょう。
比肩と劫財の違い
比肩も劫財も似たような意味がありますが、比肩に比べ劫財の意味するところは、やや比肩に比べ融通性や社交性があり、ソフトな印象です。「比劫」=「金銭運の悪さ」ということが日本式四柱推命ではよく言われますが、劫財の良くない面が出た場合はその通りですが、それは比肩でも同じことが言えます。
劫財であっても良い面が出れば、自我の強さやチャレンジ精神などが良い方向へ出て金銭運は上昇します。良い面が出そうか悪い面が出そうかは命式によります。
比劫に向いた職業
比劫の強い命式を持つ人は、自営業や自由業、フリーランス、経営者として向いています。起業する人もいます。会社員としても、リーダー的な役割が向いています。