身強の命式・身弱の命式
中国式四柱推命では命式全体のバランスを重要視します。その人自身である日干が命式の中で強いか弱いか、その力量を見極めることがとても大事です。命式中で日干が強い力を持っていれば「身強(みきょう)」、弱ければ「身弱(みじゃく)」と言います。
通変星の吉凶判断
四柱推命では命式のバランスが良ければ運気が良いと判断します。通変星そのものに吉凶はありません。
もともと日干の強い身強の命式であればその日干が弱まる運気、つまり通変星で言えば、日干を洩らし弱める食傷、日干を分けて弱める財星、日干を剋し弱める官星の巡る行運が良い運気と判断し、これらの通変星は喜神(きしん)と呼ばれます(身強の命式であれば一様に食傷、財星、官星すべてが良い運気、喜神となるわけではありません、命式によります)。逆に、さらに日干を強める比劫と印星は悪い運気として忌神(いまかみ)と呼ばれます。
また身弱の命式であれば日干が強まる運気、つまり通変星で言うと、日干と比和する比肩、日干を生じる印星の巡る行運が良い運気(喜神)と判断します。逆に日干をさらに弱める食傷、財星、官星は悪い運気(忌神)と判断されます。
このように、中国式四柱推命では命式のバランスを見て吉凶を判断します。
内格と外格
このバランスが良い方が良い命式を「内格」と言います。日干が弱ければ身弱の内格、強ければ身強の内格と言います。内格の命式は、日干が強ければ弱め、弱ければ強めるというサーモスタットのような働きをする運気が吉とされます。中庸という言葉があるように、何事も突出せず、偏らず、中正であることが良しとされます。
ですが、中には命式に極端な偏りがある方がいます。このような命式は「外格」と言い、内格と違って命式が偏れば偏るほど吉とされています。ですから、身強の外格の命式ならさらに日干を強める比劫と印星が喜神とされ、身弱の内格の命式は、さらに日干を弱める通変星(食傷、財星、官星など)が喜神とされます。
通変星には大まかなカテゴリがありますが、それ自体に吉凶の意味はなく、日干の力量によってその作用は変わります。ですから通変星の吉凶を知る前に、自分(日干)の力量が強い(身強)か弱い(身弱)かを正確に知ることが重要です。
身強か身弱かを知るには
日干の力量が強いか弱いかは、八字(年柱、月柱、日柱、時柱)がそろっていないと正確な判断はできません。八字を見て、日干と同じ五行が多いあるいは日干を生じる天干がある、また日干が月令を得ているなどすれば身強の命式と言えます。また天干に数はあまりなくても地支に天干を支える根を多く持てば身強になり得ます。逆に日干が他の天干から剋されたり洩らされたり分けられたりなどして弱まっていれば身弱の命式と言えます。
年干・月干・日干だけ見ると身強のように見えても、時干によって身弱になることもありえますし、時干と日干が変化干合して日干自体が変わることだってあり得なくはありません。日干が変わると通変星自体も変わってしまいます。
以下に例を示します。
時 日 月 年
? 壬 丙 辛
? 子 申 未
月令(庚)丙と辛は無作用干合し、月支申と日支子は水気の強い地支なので、一見して日干壬(水)が強く身強の命式となります。ですがこの方がもし14時前後(丁未)の生まれなら、時 日 月 年
丁 壬 丙 辛
未 子 申 未
月令(庚)日干壬と時干丁は倍加干合しますから、時干丁が倍の強さで日干壬を剋し、また火の気のある地支未が2つありますから、この命式は身弱になります。時支の存在によって日干の力量が変わりました。
1990年(庚午)6月(壬午)12日(戊申)生まれ
時 日 月 年
? 戊 壬 庚
? 申 午 午
月令(丙)
地支に火の気の強い午が2つありますが天干に丙丁はなく、日支申が年干庚(食神)と月干壬(偏財)を強めているので身弱の命式です。年干庚(食神)と月干壬(偏財)は身弱である日干戊をさらに弱めるので良くない作用に見えます。
ですがこの方がもし午前2時前後(癸丑)の生まれなら、
時 日 月 年
癸 戊 壬 庚
丑 申 午 午
月令(丙)
日支戊と時支癸は月令丙により変化干合し、以下のような命式に変わります。
時 日 月 年
丁 丙 壬 庚
丑 申 午 午
月令(丙)
時支に金・水を強める丑があるので庚も壬も強まりますが、日干が丙になり月令を得ていて、地支に午がふたつあるため身強の命式になります。また年干庚は偏財、月支壬は偏官となり、身強の日干丙にとって良い作用をします。時支の存在によって、日干も、天干の通変星も、そして通変星の吉凶も変わってしまいました。
このようにご自身の運勢・運気を知るためには、まずは正確な命式を出すことで身強か身弱かを知り、内格か外格かを判断したうえで、通変星で吉凶判断をすることになります。くどいようですが、正しい命式判断をするには、時柱は欠かせません。時柱のない占いは、”四”柱推命にはなりません。