四柱推命と梅花心易

中国式四柱推命
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最近、『梅花心易』という易術があることを知りまして、興味がわいたので本を取り寄せて読んでいます。梅花心易とはその名の通り易術(卜術・ぼくじゅつの一種)です。邵康節という方が創始者で、梅の枝に止まっていた雀が二羽、争いをはじめて枝から落ちてしまった、それを見た日時と時間から、その梅の木にこれから起こることを占ってズバリ当てた、ということが「梅花心易」という名前の由来だそうです。

その読んでいる本の中で、卦を立てる日にちや時間についての興味深い言及があったので、ここでは占うべき日時の扱いについて四柱推命と比較して書いてみようと思います。

命術、卜術、相術

さて、占いと言ってもいろいろな種類がありますが、大きくは命術、卜術、相術の3つが有名でしょう。

命術とは、人間の生まれた年月日(時間)を使った占術で、その人自身の性格や人生の禍福を占うものです。四柱推命(子平)、紫微斗数、西洋占星術、気学などがこれにあたります。人の生まれた日時は変えられないので、四柱推命では命式(八字)、西洋占星術ではネイタルチャート(出生図)と呼ばれるものは一生を通じてずっと変わりません。そこに年運(その年の干支や星座)が加わってその年に何が起こるかなど、吉凶を占うことができます。

卜術とは占う瞬間や偶然性から物事のなりゆきや吉凶を占う占術です。易は古来、動物の骨や亀の甲羅に入ったヒビを見ての占いが原型です。周易に十二支五行の要素を加えた断易(五行易)などがあります。西洋ではカードを用いたタロット占い、アストロダイスなども卜術の一種です。

一般に言われる「易術」とは中国の周時代(紀元前1100年~256年)ころまでに確立された「周易」と呼ばれるもので、「易経」という書物に記されています。梅花心易もこの周易を踏襲したものになります。周易では、万物を陰と陽、老と少によって四象に分け、さらに乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の八卦に分けます。八卦は上卦と下卦と分けて重ねて六十四卦を作り、万物事象を占うというものです。占い師のイメージのひとつ、長い棒(筮竹)をジャラジャラと振って占いをする、あれがそうです。

梅花心易では日時や、目に見えたもの、聞こえたものなどを使って卦を立てるので、道具がいらないというのが大きな特徴です。

相術とは、物体(モノや人)を観察してその相によって性格や人生、吉凶などを占います。人相、手相、家相、姓名判断などが有名です。

他にも中国では医術(病の治療法、中医や鍼灸など)と山術(養生や呼吸などの心身修養法)を命術、卜術、相術に加えて「中国五術」とされています。

占いでの”日にち”や“時間”の概念

中国式四柱推命では、生まれた年月日と時間を正確に把握して、そこから命式を出します。なぜなら中国式四柱推命では二十四節気をもとに命式を出しますので、立春を起点として、そこからその人が生まれた瞬間に太陽が地球から見てどこの位置にあるのかを正確に出すことが必要なのです。生まれた時間についても、日本では明石市を標準時間としていますから、同じ時間でも北海道と沖縄では経度が20°ほど違うために、太陽の位置が同じ時間でも少しずれます。そこを補正して命式を出しています(計算ソフトを使っています)。これは西洋占星術でも同じような考えを元にしていると思います(天体の位置関係を図にして読み解く)。占いによっては太陰暦(月の満ち欠け)を使うものもあるようです。

さて、梅花心易の本を読んでいましたら、このような記述がありました。

…梅花心易の特徴は暦に頼るのではなく、暦はあくまで「数を得るだけの手段」に過ぎないと考えれば、新暦でも旧暦でも構いません。暦に拘泥すると、臨機応変の妙味が発揮できなくなります…それはそれできちんと当たります。なぜでしょうか?それは梅花心易が「学問」ではなく「術」だからです。…術の世界では占師に相応しい「流儀」で行えばきちんと当たるのです。このあたりは最近巷に流行っている「量子力学」と似ているのではないでしょうか。 ―梅花心易 鎗田宗惟(説話社 2020年)

これは命術を行っているものとしては、新鮮な考え方です。梅花心易では生まれた日時も時間も、それは数字を得るだけのものであり、それ自体に意味を見出さないということです。梅花心易の本を読んでいたら、生年月日からその人の人生をおおざっぱですが読むこともでき、命術のように使うこともできます。またさらに、氏名の画数や字数からも同じように卦を立てることが出来るのです。このように梅花心易は卜術でありながら命術のような使い方もできるのですが、その卦の出し方はさまざまで四柱推命のように一義に決まるものではない(のになぜか当たる)というのが面白いです。なんなら、時間を間違えて卦を立ててもそれは間違えたことに意味があるので、あとから訂正する必要すらないのだとか。四柱推命では命式が変わればその解釈は全く異なるため、正確な命式をまず出すことが重要です。鎗田先生のお言葉を借りるなら、四柱推命は「学問」であるということでしょうか。

「量子力学」の話が少し出てきましたね。いわゆるパラレルワールドと言うものが量子力学の世界にはあって、例えばレストランでハンバーグ定食とカレーどちらを食べようか迷ったとき、そこにはハンバーグ定食を選んだ自分と、カレーを選んだ自分、どちらも存在しているのだとか。結果ハンバーグ定食を選んだ場合は自分の世界がそちらに進んでいくだけであって、カレーを選んだ自分もそこから枝分かれして存在している・・・という例えが正しいかどうか分かりませんがそういうことらしいです。卜占では卦をいかようにも立てられるというのは、このような考えに近いということでしょうね。

逆に四柱推命などは命術=運命を占うというものですから、いくつも人生の分岐があっては困ります。なので命式や命盤は何通りもなくたったひとつ、ということでしょう。

さりとて命術なら命式は1つに決まるべき

卜術では卦の立て方によって、その人自身を表すものが変わってきます。たとえば梅花心易ならその人の誕生日からも立てられますし、誕生日が分からない人ならば姓名からも立てることが出来ます。ただしそれはざっくりとしたものであって、四柱推命のように1年ごとの吉凶を占うには向いていません。その時、その瞬間の吉凶や短期間の未来予測を占うならば卜術で占えるのでしょうが、5年先、10年先の未来にはその人が生まれた瞬間に1つに決まる命式を出せる、命術を使うべきでしょう。その際には、本当に生まれた日時を正確に使う必要があります。

自分の人生を俯瞰して大きな流れを見たうえで、結婚や起業などをする時期、注意すべき時期などを細かくみるにはやはり命術を使った方がよく、相手の気持ちなど自分では知りようのないものならば命術で見ることはできないので卜術を使うことが適当でしょうね。

ご自分が占いたい事柄によって、どのような占いを選ぶかが大事です。中国式四柱推命では”好きなお相手が私のことをどう思っているか”などの事柄は占えません。その代わり、その方の生年月日時が分かれば、あなたとのご縁や相性、結婚に向く時期、向かない時期、その後の二人の性格や運勢から幸せな結婚を続けるためのアドバイス、注意すべき時期などを見ることができます。せっかく有料で見てもらうなら、ご自分のお悩みに沿った占いを選んでくださいね。

ちなみに私は、梅花心易はまだまだ使えそうにありません。その前に四柱推命をもっともっと極めなくてはいけません(笑)

自己紹介
Ryu-jin(リュージン)

前向き人生脚本家】Ryu-jin(リュージン)

1973年(癸丑)生まれ。
二人の子どもの不登校をきっかけに中医学の考え方に興味を持つ。
中医学を学んでいるときに、中医学と親和性の高い中国式四柱推命と出会い現在に至る。
登録販売者として漢方薬を販売する傍ら、心理学も学ぶ。

適応指導教室で不登校の子どもたちと一緒に遊んだり
勉強するボランティア経験あり。
中国式四柱推命にて不登校問題や親子関係などについても鑑定を行っている。

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