最近、おふたり続けて『従旺格』の方の鑑定をさせていただきました。
お一人は比劫が月令を得てかなり強く、命式を一目見て「あ、従旺格!」と分かる方でした。
ただ働き盛りの時に、大運で従旺格にとっては良くない星「官星」(※)が巡り、比劫はかなり強まる時期はあるものの破格している時期が長く、行運のめぐりが良くないせいで、従旺格として大輪の花が咲くには苦労が伴うだろうと感じました。
※従旺格にとっては良くない星「官星」
従旺格の成立条件に官星がないかかなり弱いこと、とあります。従旺格の従神は比劫です。従神が剋される時期は従格の命式にとって一番良くありません。特に日干と倍加干合する正官が巡る時期は、きわめて注意が必要な時期です。
もうお一人は食傷と財星をお持ちでしたが根はなく、比劫はそこまで強くないものの月令を得ており、ギリギリ従旺格成立かな、という方でした。
行運で巡る正官と変化干合して喜神に変化(※)する星と、行運の偏官と無作用干合する星をもともと命式中にお持ちで、一生のうちに官星が比劫を剋すことがない(官星の影響が全くないということでもありませんが)という強運の持ち主でした。今後の行運によっては比劫が弱まる時期はあるものの、それが長い時期続くことがないため、多少の浮き沈みはあっても十分従格として花開く可能性はあると思いました。
※変化干合で喜神に変化
例えば、日干が丙で月令(火)を得ており、なおかつ比劫が喜神である場合、行運でめぐる癸(正官)は通常は忌神のはずです。しかし命式中に戊があるとすると、命式中の戊と行運の癸は月令(火)のため変化干合して戊は丙に、癸は丁に変化します。この場合行運の癸は喜神になります。ただし命式中の戊が隣の天干と干合していない場合です。
果たしてどちらが「良い」命式と言えるでしょうか。
お二人とも幼少の時は同級生となじみにくかったり学校へ行きづらいという点は共通してありました。従格の方からは、子どもの頃のそういったエピソードをしばしば耳にします。横並び一直線の学校でまわりと合わせないといけない生活は、従格の人からするとしんどいのです。
それでも成長して、例えば実力・才能重視や競争社会の中に身を置くと、従格らしさがうまく作用して生きやすくなります。
持って生まれた命式の良さは「生まれ・育ち」「その方の本質」という点においては非常に良いことです。特にその後の人生の基礎となる学生時代の運気が良ければ、質の良い教育を受けることが出来たり、勉学で成果が出る、親兄弟との関係が良い、親族からの援助があるなど、自身が大人になるまでの時期に良い影響を与えます。命式自体が「良い」に越したことはありません。ですがその後の行運で良くない時期が続けば、せっかくの才能を開花させることは、不可能ではないですがスムーズにいかないなど苦労を伴うでしょう。
逆に、たとえ生まれた時の命式がさほど良くなくても、その後めぐってくる行運が良ければ成功しやすくなります。ちょうど働き盛りであったり結婚の時期に「仕事運」「家庭運」などで良い運気がめぐるのであれば、その時に努力が実ったり、事業が成功したり、良い出会いがあったりと、ものごとがスムーズに進んでいくでしょう。
また、「若いころの苦労は買ってでもせよ」という言葉があります。若いうちに苦労した経験が大人になってから実を結ぶことはいくらでもあります。
ですからもって生まれた命式の良さよりも行運の良さが大事と言えるのです。